個人事業主を営まれていた方が、いろいろなメリットを享受する目的で、法人化(法人成り)をされるケースがよくあると思います。
その際、法人契約にすると経費として損金算入できる場合があるということで、個人契約を法人契約に変更する方がいらっしゃいます(定期保険等の商品)。確かに法人契約とすることで、ある程度税制上のメリットを受けることができますが、一方で留意点もあります。
あるオーナー社長が、自分が行っていた事業を法人化されました。その際に生命保険契約も個人から法人に変更しました。
| <契約の形態> |
| |
個人事業主 |
|
法人化後 |
| 契約者 |
:個人 |
⇒ |
会社 |
| 被保険者 |
:個人 |
⇒ |
社長 |
| 保険金受取人 |
:個人 |
⇒ |
会社 |
ところが、法人化された直後(1年程)に、社長に“万が一”の事態が発生してしまいました。法人契約となっていましたので、会社に死亡保険金が入り、それを社長の遺族の方へ死亡退職金として支払おうとしたところ、“待った!”が掛かってしまいました。退職金として支払えるのは1300万円程しかない、ということなのです。これはどういうことなのでしょうか・・・。
<一般的な退職慰労金計算式>
| 【死亡・勇退退職金】 |
:最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率 |
| 【弔慰金】 |
:業務上死亡の場合・・・報酬月額の36月分 |
| |
:業務外死亡の場合・・・報酬月額の6月分 |
|
役員の退職金は一般的に上記の計算式で算出されますが、この社長の場合、『役員在任年数は法人化された時点からしか起算できない』、というところに理由があったのです。
この社長について、最終報酬月額を150万円とした場合、
a)死亡退職金:150万円×1年×3倍(一般的な功績倍率)=450万円
b)弔慰金 :150万円×6ヶ月=900万円
と、(a+b)合計で1350万円ということになります。仮に死亡保険金が1億円あったとしても、それだけしか死亡退職金として受け取れないということです。
これは、法人契約にしないほうが良いといったことではありません。オーナー社長の場合、個人と法人は切り離せない存在であり、また生命保険は残された方たちを守る、という役割も担っているのですから、経費等のメリットという観点だけで考えるのではなく、双方をバランス良く考えていかなければならない、ということの一例とお考え頂きたいと思います。 |