少々補足します。実質負担保険料という項目がありますが、これは『保険料累計−(損金算入額×実効税率)』という計算式から算出しています。つまり、実際には現金で保険料を支払っているのですが、損金に算入できる部分は税金の支払が発生しないことから、実質的には、発生しなかった税金分の保険料が軽減されている、ということを示しております(ここでは実効税率を41%と仮定しております)。
そのため、保険料累計に対する解約返戻金の率を示す「単純返戻率」は100%を下回っておりますが、実質負担保険料に対する解約返戻金の率を示す「実質返戻率」は、実質的に保険料負担が軽減されているということで、100%以上となっているのがご覧いただけるかと思います。
あともう一つ。この保険会社の商品の場合、9年目を境に返戻率が高低しています。これが逓増定期保険の大きな特徴で、一定時点までは返戻率が上昇していきますが、その時点を越えるとどんどん返戻率が低下していきます。単純返戻率は、払い込んだ保険料に対して、その時に解約をした場合に返ってくる返戻金がどれくらいかを表しているものですので、返戻率の一番高いところが資金効率の一番良い時点ということになります。
以前、保険で退職金を積み立てることについてお話しをしましたが、保障としての保険の機能を備えるとともに、この返戻率のピークを例えば勇退退職時期と一致させ、その解約返戻金を退職金の原資とすることで、効率よく退職金を積み立てることが可能になるわけです。
但し留意点があります。この逓増定期保険、ピークを過ぎると返戻率がどんどん低下していきますので、それまでに解約しない場合は資金効率が悪くなります。また、全額損金タイプの場合、解約返戻金は全額利益(雑収入)となりますので、何もしなければそのまま利益として課税されてしまうこととなります。
例えばこの表の中で、返戻率のピークである9年目に解約した場合、約45百万円の現金と利益が会社に入ってきますので、45百万円×41%(仮の税率)=18百万円の税負担が発生する、ということです。
ですから、これまでも何度か申し上げたとおり、単に保険で節税しようとしたとしても、そこにある程度目的が無い場合は単なる利益の繰り延べになってしまいます。やはり目的を決めて保険に入らないと十分な効果が得られないということですね。
次回は財務的な効果についてお話したいと思います。 |