b)保有リスクの軽減効果
不動産の市場価格が下げ基調にある場合には不動産を所有していること自体がリスクの要因となります。従って不動産をオフバランスすることによって資産保有のリスクを減らしておくことは、個人および企業の財務にとって重要な意味を持つわけです。また、不動産の価値が一定水準以下に下落すると減損会計の対象となってしまいます。オフバランスによって、価値下落分の損失計上を未然に防ぐ効果も期待できるというわけです。
c)調達手段の多様化
不動産を証券化することによって、オリジネーターはSPCから不動産の売却代金を手に入れます。この原資をたどると金融機関の借入金以外に小口分散させて投資家から投資を募ったり、シニア債、メザニン債(メザニンとは中二階のという意味です)といった優先劣後構造の手法を用いたりとさまざまです。この売却代金を借入金の返済に充当して有利子負債を削減することもできますし、収益性の高い不動産に再投資することも可能となります。証券化というツール(道具)を持つことによってオリジネーター自身が従来の間接金融とは異なった新たな資金調達手段を創造することができるわけです。さらに業績の芳しくない会社の場合は、オリジネーターが自社で行う資金調達が高い金利を強いられるために収益性の高い不動産をSPCに売却し、SPCにて資金調達を行なうケースも考えられます。SPC保有の不動産の収益性が高く、返済能力があると貸し手側が判断すればノンリコースローンの金利は、低い金利が適用され、SPCがオリジネーター自身よりも低金利での調達が可能になる場合があります。その結果、オリジネーター自身が高い金利を払うよりも、SPCに保有させて配当収入を得る方が有利になるわけです。個人も企業としてもその時々の金融環境などに応じて、最も有利な資金調達手段を選択すべきです。証券化手法には資金調達の多様化を図ることができるという側面もあるということを覚えておきましょう。
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