信託受益権とは何でしょう。信託とは『委託者の設定した一定の目的に従い、当該財産の管理又は処分を受託者が行う行為』のことを言います。信託受益権とは委託者が受ける権利のことです。具体的な例を一つあげるとすると、マンションを一棟所有しているAさんがいたとします。Aさんが委託者となり、信託銀行にマンションを信託したとすると、信託銀行が受託者となりマンションの管理を行うわけです。賃料収入から、管理費、修繕費、借入金利息等諸々の経費を差し引き、さらに信託にかかる信託報酬差引き後の手残りを信託配当として受益者であるAさんにお返しするという仕組みになります。よって当然、手残りである信託配当は運用実績により左右され、額が保証されているものではありません。
現物不動産を信託すると、受託者が信託財産の名義上の保有者になります。当然所有権の移転登記も行うことになるわけです。それに対して、委託者兼受益者には信託受益権という権利が与えられるわけです。ただし、個人の相続の場合、信託受益権は信託財産である各財産債務を直接取得したものとして評価されます。
不動産を信託受益権化する主なメリットをあげると3つあります。1つが、信託することにより通常の現物不動産を譲渡するよりも移転にかかるコストを安く抑えられる点です。信託受益権として不動産を譲渡される買い手は、不動産取得税、登録免許税が優遇されます。(ただし、現物不動産を信託設定する費用が別途かかります。)次に管理の手間がかからなくなる点です。受託者である信託銀行が通常管理を行いますので、特にファンドで受益権として証券化された物件は、オリジネーターからすると管理の手間が省けるということです。
さらに、信託受益権化することにより現物不動産が信託財産となります。信託財産は信託法上、分離独立の財産として保護されますので結果として倒産隔離の機能を持つことができるわけです。仮にオリジネーターが倒産したとしても、信託法上、独立の財産として保全されるということです。使い方によっては現物不動産よりも勝手が良いということで、不動産ファンドに入れられる物件の殆どが信託受益権化されているのが実態です。
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