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成功・失敗事例詳細
 
第16回:ステップ5. 入居者の火災事故対策
今回は、第1回「図1アパート・マンション経営事業計画フロー」のステップ5商品・サービスに関して、今回は「入居者の火災事故対策」について、お話します。

■アパートの入居者が火災を出した場合、近隣への責任は?
入居者Aさんが火事を出し、私のアパート(10世帯入居)が全焼してしましました。この場合、Aさんは、同じアパートの入居者に対する責任、大家である私への責任はどうなるのでしょうか? また、こうした火災に対する対策としてはどのようなものがあるの でしょうか?

■入居者の責任に対する考え方
1.Aさんの他の入居者に対する責任
火災を起こし、近隣を類焼し、多くの損害を出したとしても、 その損害を賠償しなくてもよいという「失火に関する責任の法律」(注1)が民法にあります。
従って、火災を起こしたAさんは、同じアパートの入居者に対しては、火災による賠償責任は生じません。
入居者は、近所からのもらい火で家が焼けても、火元の家に賠償責任を求められないことから、火災による損害の備えとして、各々個人がご自分の家財に対して火災保険に加入する等の対策しておく必要があります。
但し、失火責任法で免れるのは「重大な過失がない限り」ですので、重大な過失があると認められて民法の709条「不法行為責任」を問われた場合は、類焼被害者への損害賠償責任が発生します。(注2)
また、もし、Aさんが「ガス爆発」を起こし、燐家のものを壊したしまった場合は、失火責任法では適用除外となります。つまり、爆発は火災とは認められないので、民法709条の「不法行為責任」が適用され、Aさんには、他の入居者に対して賠償責任が生じます。

(注1) 民法の中にある「失火の責任に関する法律」いわゆる「失火法」とか「失火責任法」と呼ばれるものでは、失火から隣家にも延焼してしまった場合でも、重過失でなければ損害賠償責任は負わなくても良いことになっています。
理由は次のようなものです。
  ・自宅を焼いた上に類焼先の家屋の責任を1個人にとらせるの は酷である
・木造家屋が多く、しかも家が建てこんでいる日本固有の住宅環境では、類焼の範囲が広がりやすく、失火者の賠償能力をはるかに超える
・失火者に損害賠償責任を負わせないという古くからの習慣がある
(注2) 民法709条
故意または過失によって他人の権利を侵害したる者はこれによって生じたる損害を賠償する責めに任ず

2.Aさんの大家さんに対する責任
Aさんは、借家人として大家さんに対し、賃貸契約の中で賃貸している住宅を「元の状態で返す」という趣旨の契約をしています。この場合は失火法が適用されず、民法415条(注3)の「債務不履行」(借用物返還義務の履行不能)による損害賠償責任が発生します。
したがって、大家さんは、入居者Aさんに対し、損害培養を請求することができます。うっかりミスで火を出してしまい、重過失ありとして賠償責任を負わなければならなくなる可能性は日常的に十分にありうるので、「個人賠償責任保険」(注4)に加入しておくことをお勧めする。

(注3) 民法415条・債務不履行
「債務者が其債務の本旨に従ひたる履行を為さざるときは債権者は其損害の賠償を請求することを得る。債務者の責に帰すべき事由に因りて履行を為すこと能わざるに至りたるとき はまた同じ。
(注4) 個人賠償責任担保特約
本人の住居の用に供される保険証券記載の住宅の所有・使用・ 管理、日常生活に起因する偶然な事故により他人に対して法律 上の損害賠償責任を負担することによる損害に対して保険金が 支払われる特約。


3.入居者の火災事故で失敗しないための対策
○入居者は家財の火災保険に加入する
アパートの入居者は、もらい火の被害者となった場合、「失火責任法」により、失火者に重大な過失が無い限り、民法の不法行為に基づく加害者責任を問うことができません。 自分の家は自分の保険で対処しなければなりません。入居者は、きちんと家財を対象に火災保険に入ることをすすめましょう。

○ 入居者が、ガス爆発・重過失により火災を出した場合の対策
〔大家さんへの賠償対策〕
賃貸住宅の賃借人には、自らの失火や隣家からの類焼、そして貸主への賠償を考えて、貸主への賠償のための自分がつける火災保険に「借家人賠償責任保険(特約)」(注5)をつけましょう。
(アパートの入居者には「借家人賠償責任保険」付の火災保険の加入を義務とする不動産会社も多いようです)

(注5) 借家人賠償責任担保保険特約
被保険者の借用する住宅が「火災・破壊または爆発」の事故に より破壊したことによる法律上の賠償責任を補償する特約。
・施設賠償責任補償特約…主契約の保険の目的である建物に起因する偶然の事故により他人にケガをさせたり、他人のものを壊したりしたことによる法律上の賠償責任を補償します。

〔同じアパートの入居者への賠償対策〕
失火責任法で免れるのは「重大な過失がない限り」であり、重大な過失があると認められて民法上の「不法行為責任」を問われ、アパートの他の入居者への損害賠償責任が発生します。
この類焼被害者への賠償をカバーするのが「個人賠償責任担保特約」(注4)です。入居者は火災保険に加みの契約となり、そこに借家人賠償責任保険をつけます。

○賃貸契約に火災保険付保する特約を入れる
火事に備えてアパートの賃貸契約に「借主は必ず家財道具に借家賠償責任特約付き火災保険を付帯すこと」 という特約を入れておきましょう。
当事者間合意の特約でも、借家関係では、契約終了や更新に関して借主に不利な場合、無効になりますが、いざというとき貸主に有利に働く有効な特約であることは間違いありませのんで、是非この特約を入れておくことをおすすめします。


マーケティングコンサルタント
中小企業診断士
宅地建物取引主任者
西田 政彦
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