今回は、第1回「図1アパート・マンション経営事業計画フロー」のステップ5商品・サービスに関して、今回は家賃保証制度について、お話します。
(1)家賃保証制度
前回はアパート事業における売上に当たる賃料の不払い対策について取り上げましたが、こうした問題や心配を無くす方法に、外部の賃貸・不動産業者が提供するサービスに「家賃保証制度」があります。家賃保証を活用すると、賃料不払いだけでなく、空室に対するリスクを軽減するメリットもあります。
賃貸・不動産会社が、賃貸オーナーの手間を省き、安全確実にアパートを貸すためのさまざまな家賃保証の提案をしています。家賃保証制度には、「サブリースシステム」「家賃保証システム」があり、一般に募集賃料の80〜85%程度の賃料で契約する場合が多いようです。
「家賃保証システム」には、賃貸不動産会社各社によりいろいろな形態がありますので、保証の内容により比較・検討する必要があります。保証の対象が滞納家賃だけで、空室には及ばないこともあります。
「サブリースシステム」は、賃貸・不動産会社が物件を借り、賃貸・不動産会社が一般の入居者に部屋を転貸するしくみです。この場合には、家賃の滞納、空室になっても、業者が契約で決められた賃料を大家さんに支払う、家賃保証システムです。
(2)保証制度・サブリース契約締結の注意点
・ 家賃保証の契約が、アパート建築後となり、建築前と建築後で保証条件に食い違いが出る
⇒対策:建築時に、保証条件・期間を確定しておく
・ 契約書に、保証する家賃を一定期間ごとに見直す条項がはいていることがある
⇒対策:十分契約条件を検討・理解し、アパート事業収支計画
を策定する
⇒対策:契約時に見直し条項の削減を求める
(3) 保証システムの失敗事例
サブリースについて、家賃の見直し条項がなくても、逆に自動増額条項が付いていても「サブリース契約は、不動産賃貸借契約であるので、借地借家法第32条(注1)の事情変更の原則による、賃料減額請求を認める」とし、保証する家賃の減額を求める裁判が続発しています。
・ 最高裁平成15年10月21日判決
賃料につき自動増額特約付のサブリース契約において、借地借家法32条1項(借賃の増減請求の規定)が適用されると判示した。そして、借地借家法32条1項による減額請求につき判断しなかった原判決を破棄し、原審に差し戻した。
・ 最高裁平成15年10月23日判決
賃料につき一定期間の保証が付いたサブリース契約において、借地借家法32条1項が適用され、賃料減額請求できる、相当賃料を判定する際には、賃料保証特約の存在および保証賃料額が決定された事情を考慮すべきと判示した。
(注1)借地借家法32条1項
借地建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減
により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情
の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったと
きは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃
の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を
増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
(4) 家賃保証制度を利用する際の覚悟と業者のチェック
大家さんとしては、賃貸・不動産会社との契約書で家賃保証の条項が入っていても、減額の訴訟を起こされることがありうると覚悟する必要があります。
また、家賃保証制度を提案してくる賃貸・不動産会社に対し、あまりに条件が良すぎるのは?とまず疑ってみる。そして、家賃保証は、常に安全ではなく、契約時、契約後も保証の中身、業者の信頼性を十分にチェックしましょう。
以上
マーケティングコンサルタント
中小企業診断士
宅地建物取引主任者
西田 政彦 |