賃貸事業の強み弱みを、「所有している土地の分析」「投資できる資金」の2つのポイントからチェック。してみましょう。
「住宅需要実態調査」によるアパート入居者のニーズを満たす建物を建てる、なるべく借り入れを減らした資金計画を立てることができる大家さんが成功。
今回は、第1回「図1アパート・マンション経営事業計画フロー」のステップ3 大家さん賃貸事業の強み弱みを知るについてお話します。
アパート経営における一番の強みは、土地を所有していることです。第4回、第5回でお話した税金対策、老後の対策も土地を持っている人にとって、有効な対策になります。
地価が右肩上がりの時代には、土地所有者は何もしなくても安泰でしたが、「土地神話」も崩壊し土地を持っているだけではダメになりました。土地活用により生み出される収益力が地価基準となり、土地価格の二極化が急速に進んでいます。
賃貸経営入門講座の7回、8回、9回でもお話したように、土地の有効活用の手法としてアパート経営は最適なものですが、今後少子高齢化・住宅過剰・大増税時代が到来し、賃貸市場も確実に悪化し、アパート事業を経営する立場、発想から努力をしなければなりません。
これからアパート経営を行おうとする際には、自分の所有する土地をベースにした賃貸事業の強み弱みを知る必要があります。
その強み弱みを知るために、
1.「所有している土地の分析」
2.「投資できる資金」
の2つのポイントからチェックしてみましょう。
1.「所有している土地の分析」として一番大きいのは入居者ニーズに合ったアパート建設に適した土地かどうか?です。
今後の競争を考えると、入居者ニーズを取り込んだアパート作りができる土地の立地・広さ、採算を考えた設備をもち設計されたアパートを作ることが絶対条件です。
そうしたアパート作りの参考情報に、国土交通省が5年毎に実施している「住宅需要実態調査」(※1)があります。前回平成10年の調査によると、アパート居住者の住みたいアパートは、1位「通勤・通学の便利」2位「日常の買い物・病院などに便利」3位「日当たり・風通し」でした。今回平成15年の調査では、アパート住居者の住居への不満要因として次の項目が上げられました。
・ 高齢者等への配慮
・ 住宅の防犯性
・ 省エネルギー対応
・ 地震、台風時の住宅の安全性
・ 収納スペース
・ 住宅の断熱性や気密性
・ 外務からの騒音などに対する遮音性
アパート事業を始めようとする土地所有者は、自分の土地が上記のようなニーズの合った、または不満を減らすアパートを建てられるかどうか?チェックが大切です。こうしたアパートを建てられれば、入居率がアップし、アパート経営の成功につながります。
次に、2.「投資できる資金」についてですが、「アパート建設資金を借り入れると相続税対策になる」と勧めら安易に借入れをするのは避けるべきです。相続税の節税効果と金利負担の比較をしっかりする必要があります。怖いのは、空室ができた時のリスクで、返済が賃料で賄えなくなると借入れ資金が不良債権になってしまいます。
アパートの建築資金は自己資金に越した事はなく、なるべく借り入れを減らした資金計画や、借入れしなくても事業ができる手段を十分検討する必要があります。アパート経営の真の目的を明確にし、特に税金対策であればあるほど税理士と相談し、最適な資金ポートフォーリオを策定しましょう。
[事例]
Q:お金を借り2億円のアパート建てた時、相続税の評価額はいくらになるか?アパートを建てたことにより相続税減額効果は?
-条件-
・ 土地(更地)価格:1億円
・ アパート価格:1億円
・ 借り入れ:1億円、3%、20年
・ 返済総額:1億3,300万円
A:1億円の土地の上に、1億円借入れをしてアパートを建てると、建物の資産が4,200万円増加し(イ)、借り入れによる相続税減額効果は5,800万円になります(ロ)。アパートを建てえたことによる土地の相続税評価額減額は2,100万円です(ハ)。相続税率を仮に30%とすると(※2)、1億円の借り入れにより相続税減額効果は、2,370万円になり(二)、金利負担と比較すると金利負担のほうが930万円多くなってしまいます(ホ)。
| イ. |
アパートを建てた後の建物相続税評価額=4,200万円 |
| |
・アパートの固定資産税評価額=1億円×60%=6,000万円
(貸地権割合=60%とする) |
| ロ. |
借り入れによる相続税減額=1億円−4,200万円=5,800万円 |
| ハ. |
アパート建てた後の土地の相続税評価額減額=1億円−7,900万円=2,100万円 |
| |
・アパート敷地は貸家建付け地として(0.7×0.3)の評価減となる (賃貸経営入門講座第2回、9回) |
| |
・アパート建てた後の土地の相続税評価額
=1億円×(1−0.7×0.3)=7,900万円 |
| 二. |
相続税減額効果=2,370万円 |
| |
・額相続減額合計額×相続税実効税率30%=(5,800万円+2,100万円)×30%=2,370万円 |
| ホ. |
金利負担−相続税減額効果=3,300万円−2,370万円
=930万円 |
(※1)
平成15年住宅需要実態調査の結果(確報)について
(国土交通省住宅局住宅政策課)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha04/07/070903_.html
(※2)
相続税の速算表
| 課税価格 |
税率 |
控除額 |
| 1,000万円以下 |
10% |
― |
| 3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
| 5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
| 1億円以下 |
30% |
700万円 |
| 3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
| 3億円超 |
50% |
4,700万円 |
(平成17年度版やさしい税金教室、日本税理士連合会)
マーケティングコンサルタント
中小企業診断士
宅地建物取引主任者
西田 政彦 |